【終了】中村蓉コンテンポラリーダンス公演 「花の名前」

◇『花の名前』を実施するにあたって

大空ホール

向田邦子さん作品への思いについて教えてください。

中村 蓉さん

向田邦子さんの作品からダンス作品を作るのは2作品目なんですよ。

1作品目は、『阿修羅のごとく』をやりまして、それに続いて今回はこの「思い出トランプ」から『花の名前』という短編をダンス化しようと思ってやっています。向田邦子さんの小説で私が好きなところは、スリリングな人間関係が面白いなと思って。そのスリリングさというのが、決してSFでもなくてタイムスリップするとかでもないんですけど。出てくるのは座布団だったり、黒電話とかね。それが黒光りしているっていうところで描かれているので、本を読んでパッと目を離しても小説の中と家庭の中がそう変わらない景色だと思うんですよ。

だけど読んでいくと、もうなんていうかスリルがあって、何のトリックもないのに、こう綱渡りしているみたいに一行一行がとまらない感じでスリリングに読めるので、その日常の中のスリルっていうのが、本当に向田邦子さんの魅力だなと思っています。

大空ホール

続けて、作品の注目ポイントについて教えてください。

中村 蓉さん

注目ポイントは2つありまして、

1つ目は、今回の作品は「思い出トランプ」の中の『花の名前』の朗読の音源を使って進行していくんですよ。なので、向田邦子さんの言葉のリズムっていうのが、一寸の隙も無く音楽のようなリズムで展開していくので、そこで書かれた言葉と私たちが踊る身体(しんたい)......この言葉をこんな動きにしちゃうのかっていう、言葉と身体(しんたい)を見比べるっていうのが注目ポイントですね!

もう1つは、向田邦子さんの時代に書かれている男と女って結構はっきりと男女の区別がついていて、それって今の時代と全然違うんですよね、今の時代の考え方と。だけど、今も向田邦子ファンって本当にいっぱいいらして、若者のファンもいっぱいいるんですけど、それって多分向田邦子さんがその時代の男女の関係を描きながら、客観的にその男女について観ているっていう、離れた、距離のある視点を持っているから、今でも愛されるんだなと思っていて。男女の差を盲目的に差別するんじゃなくて、男と女のそれぞれの可愛げだったり優しさを持って描いているので、今でも受け入れられるんだろうなと思う。

何か時代とか、男女とかそういう物事に対して、距離感をもってみるということと、距離感と愛を持ってみつめるということを私は身体でやっていこうと思うので、その点、とても注目していただきたいと思っています。

大空ホール

中村蓉さん、ありがとうございました。